建築工事届は、一定規模を超える建築物を新築・増築・改築などする際に提出する届出書です。対象となる工事では着工前の届出が必要なため、確認申請との違いや提出対象、正しい書き方を理解しておくことが重要です。
本記事では、建築工事届の目的や対象範囲、項目ごとの書き方に加え、2025年1月から使用されている新様式の主な変更点までわかりやすく解説します。

建築工事届とは
建築工事届とは、一定規模を超える建築物を新築・増築・改築などする際に、建築基準法第15条に基づいて提出する届出書です。工事の内容や建築主、施工者、建築物の用途・規模などを届け出ます。提出された情報は都道府県を通じて国に集約され、建築着工統計などの基礎資料として活用されます。
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建築工事届の目的
建築工事届の主な目的は、国内で行われる建築工事の実態を把握し、建築・住宅政策などに活用するための統計資料を収集することです。提出された情報は国土交通省で集計され、建築着工統計として公表されます。建築確認のように、建築計画が法令に適合しているかを審査することが目的ではありません。
違反した場合の罰則
建築工事届は、建築基準法第15条に定められた届出です。同条では、対象となる建築物を建築・除却する場合、原則として都道府県知事への届出を義務付けています。届出義務のある工事では、提出漏れがないよう注意が必要です。なお、実務上の取扱いや必要な対応については、工事場所を管轄する特定行政庁へ確認しましょう。
参考:国土交通省「建築工事届に関するQ&A 令和8年6月版」
届出の対象範囲
建築基準法第15条では、建築物を建築する場合や建築物を除却する場合に届出が必要とされています。ただし、対象となる建築物または工事部分の床面積の合計が10㎡以内の場合は、原則として届出の対象外です。
建築する場合は「建築工事届」、除却のみを行う場合は「建築物除却届」を使用します。建て替えなど、建築と同時に既存建築物を除却する場合は、建築工事届に除却する建築物の情報も記載します。具体的な提出方法については、工事場所を管轄する特定行政庁の案内を確認しましょう。
建築工事届と確認申請の違い
建築工事届と建築確認申請は、どちらも建築工事に関連する手続きですが、目的や提出先、対象となる工事などが異なります。建築工事届は主に建築着工統計を作成するための届出であるのに対し、確認申請は建築計画が建築基準関係規定に適合しているか審査を受けるための手続きです。
関連記事:建築確認とは?申請の流れ・必要書類・期間・費用をわかりやすく解説
目的の違い
建築工事届は、建築工事の動向を把握し、建築着工統計などを作成するための情報収集を目的としています。一方、確認申請は、着工前に建築計画が建築基準法などの建築基準関係規定に適合しているか確認することが目的です。そのため、建築工事届は「届出」、確認申請は「審査を受ける手続き」という違いがあります。
届出先の違い
建築工事届は、建築主事等を経由して都道府県知事へ届け出るのが原則です。実際の提出窓口や提出方法は地域によって異なるため、特定行政庁の案内を確認します。一方、確認申請は、管轄する行政庁の建築主事等または民間の指定確認検査機関へ提出し、建築計画の審査を受けます。
提出時期の違い
建築工事届は、対象となる建築物の工事に着手する前に提出します。確認申請も原則として工事着手前に行いますが、確認申請の対象となる工事では、申請するだけではなく、審査を経て確認済証の交付を受けてから工事に着手する必要があります。
対象工事の違い
建築工事届は、原則として床面積の合計が10㎡を超える建築物の建築が対象です。一方、確認申請の対象は、建築物の用途・規模・構造や建築場所などによって決まります。新築だけでなく、一定の増築・改築・移転、大規模の修繕・模様替なども対象になる場合があり、建築工事届とは対象範囲が異なります。
建築工事届の書き方
建築工事届には、建築主や工事施工者に関する情報のほか、工事種別、建築物の用途、構造、床面積、工事費予定額などを記載します。2025年1月以降に着工予定の建築物では新様式が使用されているため、国土交通省や特定行政庁が公開している最新様式・記入要領を確認しましょう。
参考:国土交通省「建築工事届 記入の手引き 令和8年6月版」
建築主の書き方
建築主の欄には、建築工事を行う建築主について必要な情報を記載します。個人の場合と法人の場合で記載内容を確認し、名称などを正確に記入しましょう。また、建築主の種別についても該当する区分を選択します。会社の場合には、資本金など様式上求められている情報も確認して記載します。
工事施工者の書き方
工事施工者については、実際に建築工事を施工する事業者の情報を記載します。2025年1月からの新様式では、工事内容について行政から確認が必要になった際に回答できるよう、工事施工者の担当者氏名や電話番号を記入する欄が設けられています。会社情報だけでなく、担当者情報まで漏れなく記載しましょう。
除去を伴う工事の書き方
建て替えなど、建築工事と同時に既存建築物を取り壊す場合は、建築工事届の除却に関する欄も記載します。除却する建築物の用途や構造、床面積、評価額など、様式で求められる情報を確認しましょう。なお、建築を伴わず除却だけを行う場合は、原則として「建築物除却届」を使用します。
工事種別の選択
工事種別は、実施する工事内容に応じて「新築」「増築」「改築」など、該当する区分を選択します。新築は建築物がない敷地などに新たに建築する場合、増築は既存建築物の床面積を増やす場合などが基本です。工事内容と区分が一致するよう、判断に迷う場合は特定行政庁へ確認しましょう。
主要用途の記載
主要用途には、建築物が主としてどのような目的で使用されるのかを、様式の注意欄や用途分類に従って記載します。2025年1月からの新様式では、従来の中分類項目までの記載から大分類項目の区分へ簡素化されています。住宅や店舗、事務所など、実際の計画に対応する区分を確認して記入しましょう。
建築物概要の記載
建築物の概要については、建築物ごとに用途、工事部分の構造、工事予定期間、工事部分の床面積、工事費予定額、階数などを記載します。複数棟を建築する場合は、それぞれの建築物について必要事項を記入します。設計図書や見積書などと照合しながら記載すると、記載ミスを防ぎやすくなります。
物件名の記載
2025年1月からの新様式では、「一の建築物ごとの内容」に物件名を記入する欄が追加されました。正式名称がまだ決定していない段階であれば、国土交通省の資料では暫定的な名称でもよいとされています。「○○ビル新築工事」など、対象となる建築物を識別できる名称を記載しましょう。
除却の記載
建築工事に伴って既存建築物を除却する場合は、建築工事届の除却に関する項目に必要事項を記載します。除却する建築物について、用途や構造、床面積など様式上求められる情報を確認して記入します。除却のみの場合は建築工事届ではなく「建築物除却届」を提出する点にも注意が必要です。
用途混在の場合の記載
店舗併用住宅など、1つの建築物に複数の用途が含まれる場合は、それぞれの用途を確認して記載します。新様式では、2種類以上の用途がある場合、用途ごとの工事部分の床面積について、床面積が大きい順に3種類まで記載します。主要用途と各用途を混同しないよう、用途分類を確認しながら記入しましょう。
付属建築物の記載
車庫や物置などの附属建築物がある場合は、本体建築物との関係や用途を確認したうえで記載します。建築工事届では一つの届出に複数棟を記載できるため、本体建築物と附属建築物を区別し、それぞれについて用途、構造、床面積など必要な情報を記載します。
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2025年1月の建築工事届 新様式のポイント
改正スケジュール・対象時期
建築工事届などの様式を定める建築基準法施行規則等の改正省令は、2024年10月1日に公布・施行されました。新様式の対象となるのは、着工または除却の予定期日が2025年1月1日以降となる建築物です。
2024年12月31日以前に着工・除却する予定の建築物については従来の様式を使用します。したがって、様式を選ぶ際は届出日だけではなく、「着工または除却の予定期日」を基準に判断することが重要です。
主な変更点
2025年1月からの新様式では、建築工事届の記入負担の軽減や統計精度の向上などを目的として、用途分類や記載項目が見直されました。主な変更内容は次のとおりです。
・主要用途欄の簡素化
・用途区分を建築確認申請と統一
・物件名・工事施工者の担当者情報を追加
・用途ごとの床面積の記載方法を変更
主要用途欄の簡素化
従来は主要用途を中分類項目まで記載していましたが、新様式では大分類項目の区分を記載する方式に簡素化されました。用途分類表から該当する記号を選択して記載するため、主要用途を判断・記入する際の負担軽減につながります。
用途区分を建築確認申請と統一
従来の用途欄では使途区分の7区分から選択していましたが、新様式では建築確認申請と同じ用途分類に変更されました。建築確認申請と建築工事届で用途の分類方法がそろうため、記載内容を確認しやすくなっています。
物件名・工事施工者の担当者情報を追加
新様式では、建築物ごとに「物件名」を記載する欄が追加されました。また、工事施工者について、工事内容を確認できる担当者の氏名・電話番号を記載する欄も新設されています。物件名は、正式名称が決まっていない場合には暫定的な名称でも記載できます。
用途ごとの床面積の記載方法を変更
新様式では、2種類以上の用途がある建築物について、用途ごとの工事部分の床面積を、床面積が大きい順に3種類まで記載します。店舗併用住宅など複数の用途を持つ建築物では、各用途の床面積を確認して記載する必要があります。
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建設業では、建築工事届をはじめ、日報や点検表、報告書など多くの帳票を扱います。紙やExcelでの管理は、書類の紛失や確認漏れ、情報共有の遅れにつながることもあります。
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まとめ
建築工事届は、一定規模を超える建築物の新築・増築・改築などを行う際に必要となる届出です。スムーズに工事を進めるためにも、対象範囲や確認申請との違い、各項目の書き方を理解し、最新の様式に沿って正しく作成することが重要です。
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建築工事届に関するよくある質問
建築工事届と確認申請の違いは何ですか?
建築工事届と建築確認申請は、どちらも建築工事に関連する手続きですが、目的や提出先、対象となる工事などが異なります。建築工事届は主に建築着工統計を作成するための届出であるのに対し、確認申請は建築計画が建築基準関係規定に適合しているか審査を受けるための手続きです。
建築工事届を出さないとどうなる?
建築工事届は、建築基準法第15条に定められた届出です。同条では、対象となる建築物を建築・除却する場合、原則として都道府県知事への届出を義務付けています。届出義務のある工事では、提出漏れがないよう注意が必要です。なお、実務上の取扱いや必要な対応については、工事場所を管轄する特定行政庁へ確認しましょう。

KANNA現場ノート編集部
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