建設業では、材料の購入や協力会社への外注など、工事に関する支払いが数多く発生します。そのなかで、工事原価に関する未払い債務を処理する際に用いられるのが「工事未払金」です。
工事未払金を正しく処理するためには、未払金や未成工事支出金との違いを理解し、適切に仕訳・管理する必要があります。
本記事では、工事未払金の意味や他の勘定科目との違い、仕訳例、税務処理、管理方法までわかりやすく解説します。

工事未払金とは
工事未払金とは、建設工事にかかった材料費や外注費、労務外注費などの工事原価のうち、すでに取引や役務の提供が完了しているものの、代金をまだ支払っていない場合に使用する負債の勘定科目です。
たとえば、協力会社に工事を依頼し、工事が完了して請求額が確定しているものの、支払日が翌月となる場合などに工事未払金として計上します。一般企業の「買掛金」に近い性質を持ちますが、建設業では工事に直接関係する債務を区分して管理するために工事未払金が用いられます。
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工事未払金と「未払金」「未成工事支出金」の違い
工事未払金と似た勘定科目に「未払金」や「未成工事支出金」があります。いずれも建設業の会計で使用されますが、計上する対象や貸借対照表上の区分が異なるため、適切に使い分けることが重要です。
ここでは、工事未払金との違いについて以下の項目ごとに解説します。
・未払金との違い
・未成工事支出金との違い
未払金との違い
工事未払金と未払金の主な違いは、支払いの対象が工事原価に直接関係するかどうかです。
工事未払金は、工事に使用した材料の購入費や協力会社への外注費など、工事原価となる取引で発生した未払い債務を計上します。一方、未払金は、事務用品や備品の購入費など、工事原価以外の取引で発生した未払い債務を処理する際に使用します。
工事に直接関係する支払いと、それ以外の支払いを区別することで、工事ごとの原価や債務を把握しやすくなります。
未成工事支出金との違い
工事未払金と未成工事支出金は、表している内容が異なります。
工事未払金は、工事にかかった材料費や外注費などのうち、まだ支払っていない金額を表す「負債」です。一方、未成工事支出金は、完成していない工事にかかった材料費や外注費などの原価を一時的に計上する「資産」です。
たとえば、完成前の工事で100万円の外注費が発生し、まだ支払っていない場合、「未成工事支出金100万円/工事未払金100万円」と仕訳することがあります。
つまり、工事未払金は「未払いの工事代金」、未成工事支出金は「完成前の工事にかかった原価」を管理するための勘定科目です。
工事未払金の仕訳方法と仕訳例
工事未払金は、工事に必要な材料の購入や協力会社への外注などで支払い義務が発生し、代金をまだ支払っていない場合に計上します。材料費や外注費などの工事原価を借方、工事未払金を貸方に記録し、実際に支払った際には工事未払金を借方に計上して消し込みます。
たとえば、以下のように仕訳します。
工事用の材料を55万円で購入し、代金を後日支払う場合
・借方:材料費 550,000円 / 貸方:工事未払金 550,000円
協力会社への外注費110万円が確定し、代金を後日支払う場合
・借方:外注費 1,100,000円 / 貸方:工事未払金 1,100,000円
工事未払金110万円を普通預金から支払った場合
・借方:工事未払金 1,100,000円 / 貸方:普通預金 1,100,000円
工事未払金は、計上した時点だけでなく、支払い後の消し込みまで適切に行い、帳簿上の残高と実際の未払額を一致させることが重要です。
工事未払金の税務処理について
工事未払金は、決算時点で代金を支払っていなくても、一定の条件を満たせば税務上の費用として扱える場合があります。
重要なのは、「支払いが済んでいるか」ではなく、決算までに材料の納入や外注工事などが完了し、支払う金額が確定しているかどうかです。請求書がまだ届いていない場合でも、工事やサービスの提供が完了し、金額を合理的に算定できる場合には、未払い分を計上することがあります。
消費税についても、原則として支払日ではなく、材料の引渡しや外注工事などのサービスを受けた時点を基準に処理します。
そのため、決算時には工事未払金の計上漏れがないか、請求書や発注書、工事の進捗状況などを確認することが重要です。
工事未払金の管理方法とは
工事未払金を適切に管理するには、まず社内の管理ルールを明確にすることが重要です。請求書の確認担当者や承認フロー、計上するタイミング、支払期日、支払い後の消し込み方法などを定め、担当者によって処理方法が変わらないようにしましょう。
また、工事ごとに取引先や請求金額、支払期日、支払状況などを記録し、請求書・発注書・工事台帳などと照合できる状態にしておくことも大切です。
さらに、ルールを定めて終わりにするのではなく、定期的に未払残高や支払状況を確認し、計上漏れや二重払い、支払遅延などがないかチェックします。問題があれば管理方法や業務フローを見直すなど、PDCAを回しながら改善することで、工事未払金をより正確かつ効率的に管理できます。
工事未払金の管理には施工管理アプリの活用がおすすめ
複数の工事を抱える建設会社では、工事未払金を正確に把握するためにも、工事に関する情報を一元管理することが重要です。
施工管理アプリを活用すれば、現場ごとの案件情報や工事の進捗、発注・請求に関連する情報などをまとめて管理しやすくなります。現場と事務所で最新情報を共有できれば、請求確認の漏れや情報の行き違いを防ぎ、工事原価の把握にも役立ちます。
工事未払金を含む工事関連情報の管理を効率化したい場合は、自社の業務フローに合った施工管理アプリの導入を検討するとよいでしょう。
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まとめ
工事未払金は、材料費や外注費など、工事原価に関する代金が未払いの場合に使用する勘定科目です。適切に処理するには、未払金や未成工事支出金との違いを理解したうえで、工事ごとの未払額や支払状況を正確に把握することが重要です。
複数の工事を管理していると、請求書や発注情報、工事の進捗などが分散し、確認や管理に手間がかかることもあります。施工管理アプリを活用して現場に関する情報を一元管理すれば、工事原価や発注・請求に関する情報も確認しやすくなります。
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工事未払金に関するよくある質問
工事未払金と未成工事支出金の違いは?
工事未払金と未成工事支出金は、表している内容が異なります。
工事未払金は、工事にかかった材料費や外注費などのうち、まだ支払っていない金額を表す「負債」です。一方、未成工事支出金は、完成していない工事にかかった材料費や外注費などの原価を一時的に計上する「資産」です。
たとえば、完成前の工事で100万円の外注費が発生し、まだ支払っていない場合、「未成工事支出金100万円/工事未払金100万円」と仕訳することがあります。
つまり、工事未払金は「未払いの工事代金」、未成工事支出金は「完成前の工事にかかった原価」を管理するための勘定科目です。

KANNA現場ノート編集部
現場の効率化から経営改善まで、建設業界のDX化をワンプラットフォームで実現・サポートするKANNA(カンナ)です。現場管理、経営、法令対応など、建設業界にまつわる様々なお役立ち情報を提供します。
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