一定規模以上の建設工事では、工事開始前に「建設工事計画届」の提出が必要となる場合があります。対象工事や提出期限、提出先を正しく把握していないと、着工スケジュールに影響する可能性もあるため注意が必要です。
本記事では、建設工事計画届の対象となる工事、提出のタイミング、作成・提出手順、書き方、添付書類についてわかりやすく解説します。

建設工事計画届とは
建設工事計画届とは、一定の規模や種類に該当する建設工事を行う際に、工事開始前に所轄の労働基準監督署長へ提出する届出書です。労働安全衛生法第88条に基づき、危険性の高い建設工事について、工法や使用設備、安全対策などの計画を事前に届け出ます。
対象となる工事には、高さ31mを超える建築物・工作物の建設や解体、一定規模以上の橋梁工事、トンネル工事、深さ10m以上の掘削工事などがあります。対象となる仕事は、原則として開始日の14日前までに届け出る必要があります。
関連記事:施工管理における安全管理とは?重要性・業務内容・課題と事故防止のポイントを解説
建設工事計画届が必要な理由
建設工事計画届は、重大な労働災害につながる可能性のある工事について、施工前の段階から安全性を確保するために必要です。事業者が工事の内容や工法、設備、安全対策などを事前に届け出ることで、労働基準監督署が計画を確認できます。
また、届出に向けて施工方法や安全設備、工程などを整理することは、事業者自身が工事に潜む危険性を確認する機会にもなります。施工段階だけでなく計画段階から労働災害の防止を図り、労働者の安全と健康を確保することが計画届の重要な目的です。
→ 法令・書類・日常業務の基本を1冊に凝縮「はじめての安全管理 完全ガイド」を無料ダウンロード
建設工事計画届を提出するタイミング・場所
建設工事計画届の対象となる仕事は、原則として仕事を開始しようとする日の14日前までに提出します。提出先は、工事を行う場所を管轄する労働基準監督署長です。施工会社の本社所在地を管轄する労働基準監督署とは限らないため、事前に提出先を確認しておきましょう。
なお、特に大規模な建設工事については、労働安全衛生法第88条第2項に基づき、仕事の開始日の30日前までに厚生労働大臣へ届け出る別の区分があります。対象規模によって期限・提出先が異なる点に注意が必要です。
建設工事計画届が必要となる工事・仕事
建設工事計画届の対象は、すべての建設工事ではありません。労働安全衛生規則第90条では、一定以上の高さ・深さを伴う工事や、橋梁・トンネル工事など、特に危険性が高い仕事が対象として定められています。主な対象は次のとおりです。
・高さ31mを超える建築物・工作物(橋梁を除く)の建設・改造・解体・破壊
・最大支間50m以上の橋梁の建設・改造・解体・破壊
・最大支間30m以上50m未満の橋梁の上部構造の建設等のうち、一定の場所で行われるもの
・トンネル(ずい道等)の建設等
・高さまたは深さ10m以上の地山の掘削作業を行う仕事
・圧気工法による作業を行う仕事
・一定の石綿等の除去・封じ込め・囲い込みを行う仕事
・一定規模以上の廃棄物焼却炉などの解体等
・高さまたは深さ10m以上の土石採取のための掘削
・坑内掘りによる土石採取のための掘削
細かな除外条件などもあるため、自社の工事が該当するか判断に迷う場合は、工事場所を管轄する労働基準監督署へ事前に確認すると安心です。
出典:厚生労働省「建設工事届出書のポイント」
建設工事計画届の作成・提出手順
建設工事計画届は、工事内容や安全対策を整理したうえで、期限までに所轄の労働基準監督署へ提出します。主な流れは次のとおりです。
・施工計画書を作成する
・労働基準監督署に提出する
・審査を受ける
→ QCDSEの基本と現場の課題解決策を1冊に凝縮「はじめての施工管理 完全ガイド」を無料ダウンロード
施工計画書を作成する
まずは工事の施工方法や工程、安全対策などを具体化し、届出に必要な書類・図面を準備します。工事場所の周辺状況や建設物の概要、機械・設備の配置、工法、労働災害防止対策などを整理しておきましょう。
対象となる工事によっては、一定の資格を持つ者を計画の作成に参画させる必要があります。社内でも施工・設計・安全管理などの観点から事前確認を行うことが重要です。
関連記事:施工計画書の作り方は?記載項目や作る際のポイントもあわせて解説
労働基準監督署に提出する(着工の14日前まで)
必要書類を作成したら、原則として仕事の開始日の14日前までに、工事場所を管轄する労働基準監督署長へ建設工事計画届を提出します。
届出書だけでなく、周辺状況図や建設物の概要図、工法、安全対策、工程表などの添付書類も必要です。提出直前になって書類不足が判明しないよう、余裕を持って準備しましょう。
審査と受理
提出された計画届は、労働基準監督署などによって内容が確認されます。労働安全衛生法では、届出された計画のうち高度な技術的検討を要するものについて、厚生労働大臣が審査できることも定められています。
計画に労働災害防止上の問題がある場合には、計画の変更などが求められる可能性があります。スムーズに工事を開始するためにも、提出前に記載内容や安全対策を十分に確認しておきましょう。
建設工事計画届の書き方
建設工事計画届は、労働安全衛生規則の様式第21号を使用して作成します。工事の基本情報だけでなく、工事期間や計画概要、使用予定労働者数など幅広い情報を記載します。記載漏れや内容の誤りがあると確認や修正に時間がかかる可能性があるため、施工計画や契約書などの関連資料と照らし合わせながら正確に記入しましょう。
表題
「建設工事」「土石採取」のうち、該当するものが分かるように記載します。一般的な建設工事の場合は「建設工事」が対象です。
事業の種類
該当する事業の種類を記載します。工事内容を確認し、様式で示されている区分に従って適切な種類を選びます。
事業所の名称
届出を行う事業所の名称と、対象となる工事現場の名称を記載します。工事名称は契約書などと表記を統一しておくと確認しやすくなります。
仕事をおこなう場所の地名番号
実際に工事を行う現場の所在地を記載します。所在地だけでなく、連絡先となる電話番号なども指定された欄に記載します。
仕事の範囲
対象となる仕事が、労働安全衛生規則第90条のどの区分に該当するのかを確認して記載します。高さや深さ、橋梁の支間など対象要件を正確に確認しましょう。
採取する土石の種類
土石採取業に該当する場合に、採取する土石の種類を記載します。
発注者名
対象となる建設工事の発注者名を記載します。法人が発注者である場合は、法人名などを正確に記載しましょう。
工事負担金額
対象となる建設工事の請負金額を記載します。契約書などを確認し、届出対象となる工事の金額を正確に記入します。
仕事の開始予定年月日
対象となる仕事を実際に開始する予定年月日を記載します。この日付を基準として届出期限を確認するため、工程表と整合させておくことが重要です。
仕事の終了予定年月日
工事が終了する予定年月日を記載します。工程表や施工計画書などに記載された工期と一致しているか確認しましょう。
計画の概要
対象となる工事の概要を記載します。建築物の場合は、敷地面積や建築面積、構造、階数など、計画内容を把握するために必要な情報を簡潔にまとめます。
参画者氏名
計画作成に参画した者の氏名を記載します。一定の工事では、労働安全衛生法令で定められた資格要件を満たす者を計画作成に参画させる必要があります。
参画者の経歴の概要
参画者が資格要件を満たしていることを確認できるよう、実務経験や職歴、保有資格などの概要を記載します。
主たる事務所の所在地
届出を行う事業者の主たる事務所の所在地や電話番号など、指定された情報を記載します。
使用予定労働者数
届出を行う事業者が対象工事で直接使用する予定の労働者数を記載します。
関係請負人の予定数
対象工事に関係する請負事業者の予定数を記載します。協力会社などの施工体制を事前に整理しておきましょう。
関係請負人の使用する労働者の予定数の合計
関係請負人が対象工事で使用する予定の労働者数について、その合計を記載します。
欄外
届出年月日、提出先となる労働基準監督署長、事業者の住所・氏名など、様式で求められている情報を記載します。提出前には記入漏れがないか全体を確認しましょう。
建設工事計画届の添付種類について
建設工事計画届を提出する際は、様式第21号の届出書だけでなく、工事内容や安全対策を確認できる書類・図面を添付します。
労働安全衛生規則第91条では、建設工事について主に次の書類が定められています。
・仕事を行う場所の周囲の状況や隣接地との関係を示す図面
・建設等を行う建設物などの概要を示す図面
・工事用の機械・設備・建設物などの配置を示す図面
・工法の概要を示す書面または図面
・労働災害を防止するための方法・設備の概要を示す書面または図面
・工程表
工事の種類や施工方法によって必要となる資料の内容は異なるため、事前に所轄の労働基準監督署へ確認すると安心です。
帳票管理の効率化には「KANNA」がおすすめ
建設工事では、建設工事計画届だけでなく、施工計画書や工程表、図面、写真、各種報告書など多くの書類・データを扱います。紙やExcel、メールなどに情報が分散すると、必要な資料を探す手間や情報共有の漏れが発生しやすくなります。
プリ評価No.1施工管理アプリ「KANNA」を活用すれば、現場に関する資料や写真、図面などの情報をクラウド上で一元管理できます。現場と事務所間の情報共有をスムーズにし、書類・帳票を含む現場管理業務を効率化したい方は、ぜひ「KANNA」の導入をご検討ください。

まとめ
建設工事計画届は、一定規模以上の建設工事や危険性の高い工事を行う際に、労働災害を防止するため事前に提出する重要な届出です。対象となる工事では、原則として仕事の開始日の14日前までに、工事場所を管轄する労働基準監督署へ提出する必要があります。届出書だけでなく、工程表や工法、安全対策に関する図面・書類などの準備も必要なため、余裕を持った対応が重要です。
また、建設現場では施工計画書や図面、工程表、報告書など多くの書類を管理します。アプリ評価No.1施行管理アプリ「KANNA」を活用すれば、現場に関する資料や写真、図面などをクラウド上で一元管理でき、現場と事務所の情報共有を効率化できます。帳票や現場情報の管理業務を見直したい方は、ぜひ「KANNA」の資料をご覧ください。
→ 施工管理を圧倒的に効率化。現場にも経営にも支持される現場管理アプリ『KANNA』の資料を無料ダウンロードする
建設工事届に関するよくある質問
建設工事計画届とは?
建設工事計画届とは、一定の規模や種類に該当する建設工事を行う際に、工事開始前に所轄の労働基準監督署長へ提出する届出書です。労働安全衛生法第88条に基づき、危険性の高い建設工事について、工法や使用設備、安全対策などの計画を事前に届け出ます。
対象となる工事には、高さ31mを超える建築物・工作物の建設や解体、一定規模以上の橋梁工事、トンネル工事、深さ10m以上の掘削工事などがあります。対象となる仕事は、原則として開始日の14日前までに届け出る必要があります。
建設工事計画届はいつまでに提出すればいいですか?
建設工事計画届の対象となる仕事は、原則として仕事を開始しようとする日の14日前までに提出します。提出先は、工事を行う場所を管轄する労働基準監督署長です。施工会社の本社所在地を管轄する労働基準監督署とは限らないため、事前に提出先を確認しておきましょう。
なお、特に大規模な建設工事については、労働安全衛生法第88条第2項に基づき、仕事の開始日の30日前までに厚生労働大臣へ届け出る別の区分があります。対象規模によって期限・提出先が異なる点に注意が必要です。
建設工事計画届の対象となる工事は?
建設工事計画届の対象は、すべての建設工事ではありません。労働安全衛生規則第90条では、一定以上の高さ・深さを伴う工事や、橋梁・トンネル工事など、特に危険性が高い仕事が対象として定められています。主な対象は次のとおりです。
・高さ31mを超える建築物・工作物(橋梁を除く)の建設・改造・解体・破壊
・最大支間50m以上の橋梁の建設・改造・解体・破壊
・最大支間30m以上50m未満の橋梁の上部構造の建設等のうち、一定の場所で行われるもの
・トンネル(ずい道等)の建設等
・高さまたは深さ10m以上の地山の掘削作業を行う仕事
・圧気工法による作業を行う仕事
・一定の石綿等の除去・封じ込め・囲い込みを行う仕事
・一定規模以上の廃棄物焼却炉などの解体等
・高さまたは深さ10m以上の土石採取のための掘削
・坑内掘りによる土石採取のための掘削

KANNA現場ノート編集部
現場の効率化から経営改善まで、建設業界のDX化をワンプラットフォームで実現・サポートするKANNA(カンナ)です。現場管理、経営、法令対応など、建設業界にまつわる様々なお役立ち情報を提供します。





