【太陽光設備管理】1日の電話連絡にかける時間が最大約2時間削減。現場にも時間的な余裕が生まれ、施工品質に加えて精度も向上
株式会社サニックス
電気工事一般家庭向けの衛生管理業から歩み始め、事業者向けの衛生管理、産業廃棄物処理および廃プラスチックを燃料とした発電事業、さらには太陽光発電システムの販売・設置といった“環境”を軸に事業の拡大を続ける株式会社サニックス。なかでも「KANNAプロジェクト」および「KANNAレポート」を導入しているのは、法人向け太陽光発電設備に関わる業務を一貫して手掛けるPV事業本部です。
持続可能な社会の実現に向け、再生可能エネルギーが注目を集め、太陽光発電設備の需要は高まる一方。設備工事の受注数も増加するなか、どのような課題を背景に「KANNA」を導入し、どんな効果が生まれているのか。PV事業本部の原田修一様、大塚健太様にお話を伺いました。
KANNAを導入した目的
アナログな連絡手段をデジタル化し無駄を省き、現場と管理側の双方で漏れのない円滑な情報共有を図りたい
KANNAを導入する前の課題
(1)電話やメール、手渡しといった連絡手段により、各所への情報共有と確認に無駄な時間が生じていた
(2)資料の更新頻度が高く、現場が情報に追いつかなかったり、情報の齟齬が生じたりしていた
(3)別分野のDXツールを導入するも機能を生かしきれず、効果が低いと感じていた
KANNAを導入した効果
(1)チャットの既読機能により、情報発信後の確認が不要になり、業務時間最大約2時間削減
(2)資料確認から着工までに時間的な余裕が生まれ、施工に向けた準備もより綿密になった
(3)トライアル期間に不安事項が解消でき、導入検討の段階から費用対効果を感じることができた
お話を伺った方
株式会社サニックス
PV事業本部 技術部 副主任 原田修一様(右)
PV埼玉支店 大塚健太様(左)
社会全体が脱炭素社会の実現に向かう今、太陽光発電設備関連の受注数が増加
—— はじめに、株式会社サニックスの事業内容をお教えください。
原田様:設備保全に害虫駆除から廃棄物のリサイクル、エネルギー事業まで、お客様の暮らしを見守り、次世代に手渡す環境をつくるためのサービスを展開しています。なかでも「KANNA」を導入している太陽光発電設備の事業に象徴されるように、販売から施工、O&Mと呼ばれる運用から保守メンテナンスまで、一貫性あるサービスをご提供できることが弊社の強みです。
株式会社サニックス 環境資源開発事業本部 新潟工場
そして、何よりも大事にしているのが「技術力」。創業の昭和50年から築いてきた豊富な施工実績を礎に、私たちは新たなテクノロジーも積極的に導入しています。こうしたフロンティア精神が根付いているのも、高い技術力があるからこそ。その技術力を絶やさず、さらに磨きをかけるためにも資格支援制度を導入し、特に建設・電気系の重要資格を有した社員が多く活躍しています。
—— 太陽光発電設備に関するPV事業本部に「KANNA」を導入。導入の背景にあった課題とは?
原田様:協力会社様とのコミュニケーションに関わる課題です。太陽光発電はCO2の削減やSDGsの達成につながることから行政も本格的に設備導入の推進に動き出し、2023年を境に導入をお考えになる企業様が一気に増加した感があります。つまりは、受注数の増加です。
以来、私たちは施工管理に専念し、実際の施工は信頼の置ける協力会社様に依頼しております。それ以前は自社施工が主であったため案件情報も施工内容も注意事項も、社員同士の日々のコミュニケーションを通じ、しっかりと共有できていましたが、案件ごとに変化する情報をスムーズに、かつ各協力会社様に漏れなく共有することは、決して容易ではありません。
弊社では1年を通じて多くの案件を管理し、発注者様ごとに必要となる書類もさまざまです。全国各地の協力会社様と連絡を取り合い、なおかつ、あらゆる書類作成にも対応する必要があるなかで今年4月から施行された労働時間の上限規制の適用、いわゆる“建設業の2024年問題”に向き合うには、「KANNA」のようなDXツールの導入が必要です。
現場も管理側も作業の手を止める「電話確認」の手間と時間を軽減
—— では、「KANNA」を導入される以前は、どのような連絡手段を採っていたのでしょうか?
大塚様:メール、または電話でしたね。なかにはパソコンを導入していない協力会社様もあるため、図面のような資料はファックスしようにも文字が潰れてしまい、印刷したものを用意し現場で手渡しするケースもありました。
また、案件情報は頻繁に更新され、更新のたびに協力会社様へ連絡を行う必要があるため、いつ確認漏れが起こるかわからず、共有の漏れは工事の遅れなどの問題を招きかねません。そうした事態を防ぐには細かなコミュニケーションが必要ですが、協力会社様も忙しいため、お送りしたメールに返事があるとも限らず、こちらから「変更内容、確認いただけましたか?」と電話をしていました。
こまめな連絡は現場をスムーズに進めるために不可欠ですが、これは明らかに非効率ですよね。電話は互いの作業の手を止めてしまう。こうした非効率を解消し、協力会社様との連絡を円滑化することが「KANNA」導入の目的です。
—— “建設業の2024年問題”も視野に、協力会社との連絡を円滑化するためにDXツールを導入。そうした目的を背景に「KANNA」を選ばれた理由はどこにあったのでしょうか?
原田様:第一にカスタマーサクセスチームの存在が、導入への後押しになりました。実は以前、別分野のDXツールを導入していましたが、運用が思うように進まないことからツールの機能を生かしきれず、費用対効果を感じられない、といった課題を抱えていました。導入したものの、ツール提供元のサポートが乏しく、トライアル導入後に最大限活用できず、また不明な点を聞いても思うような回答を得られなかったり、毎回回答する人が違ったりなど。
そうした過去の経験をしていたので、「KANNA」の導入検討に向けた初回のオンライン打ち合わせの際に、まず「不安に思っている点」やカスタマーサクセスチームについて率直に尋ねました。すると、すぐに「KANNA」のご担当者につないでいただき、私たちが抱えている課題や不安をお伝えすることができました。導入が決まっていない最初の段階から親身にこちらの話に耳を傾けてくださる姿勢に、「これならいける」と感じました。導入さえすればいいではなく、その後の伴走もしてもらえることへの安心感、これが非常に大きな決め手の一つです。
また、「KANNA」は協力会社様へのアカウント付与が無制限に無料。ほかにもいくつかの類似ツールを比較検討しましたが、「KANNA」ならランニングコストを抑えられることが導入の理由です。実用面でも多機能かつ操作もわかりやすく、管理側の立場からすると、特にアプリ内で帳票を作成できる「KANNAレポート」のオプション機能に惹かれました。
先述したように、発注者様ごとに必要となる書類はさまざま。ほかにも現場の安全を守り、労働時間を削減するといった社会的な変化からも、提出すべき書類は増える一方です。すべてが重要な書類ではありますが、私たち管理側からすると書類を作成し、印刷するために事務所に戻る必要が生じていたため、「KANNAレポート」はバックオフィス業務の効率化にもつながるはずです。
ツール浸透のカギは協力会社のメリットを伝える「現場目線」
—— では、実際に「KANNA」を導入され、どのような運用体制を採られているのでしょう?
原田様:「KANNA」の全国展開に向けたトライアルとして、まずはエリアを関東圏に絞り、運用を進めている段階です。以前、別分野のDXツールを導入していた経験からすると、協力会社様のなかには不慣れなデジタルツールへの抵抗感から「うちはやらない!」と言い切られてしまうようなケースもあるのが実状です。こうした課題を解決するには、まずは成功事例を作ることが第一です。
成功事例を作るためには、協力会社の皆さんに「KANNA」導入のメリットを実感いただくことが重要なのではないか。そうした考えのもと、現場の皆さんとのやり取りに関しては、主に資料や写真共有の機能とチャット機能を活用しています。また、オプションの「KANNAレポート」に関しては現場への運用も視野に、まずは弊社の社員がO&Mに関わる書類作成に活用しています。
—— 成功事例を作るためには、メリットを実感いただくことが大事。ハッとさせられるお話です。
原田様:慣れた方法から別の新たな方法にシフトするには、戸惑いが付き物です。私自身、以前は現場業務に従事していたため、DXツールの導入に抵抗を感じる方の気持ちが理解できます。しかし、運用が浸透していけば、現場の皆さんが楽になる。なぜなら、頻繁な電話のやり取りも情報更新のたびに送られてくるメールも、手間が生じるのは管理側だけでなく、協力会社様も同様です。
電話やメール、時には手渡しだった連絡手段が「KANNA」に切り替われば、現場の皆さんは手元のスマートフォンからすべての情報を確認でき、情報が新しく更新されるごとに、タイムリーに最新の資料や図面を確認いただくことができます。これはお互いにとってのメリットです。
なかには操作に迷われる方もいますが、その際の対応も現場目線が第一。DXツールに不慣れな方であってもスマートフォンは当たり前に使いこなし、最近はショート動画のSNSも流行っていますよね。現場の合間の休憩時間に、職人さんも結構ショート動画を見られているんです。そのため、操作方法を動画で社内共有しています。
どれだけ事細かく説明書を作成しても、残念ながら現場の方々には読んでいただけないことが多いのが現状です。だったら、現場の方の日常になじむ伝え方は何か…動画と言っても、尺が長くては見てもらえない。「サクッと出先でも見やすい」ショート動画アプリ上に投稿し共有することがポイントです。
連絡業務が1日最大約2時間削減し、生まれた時間は作業の質の向上に充てられる
—— 現場目線を大切にした上でトライアル運用を進められ、現段階での手応えはいかがですか?
原田様:トライアル開始から4カ月程度ではありますが、明るい兆しが見え始めています。特に顕著なのが導入の主たる目的である、協力会社様とのコミュニケーション課題の解決です。「KANNA」を活用することにより、電話をかける頻度も受ける頻度も明らかに減っています。
「KANNA」導入の前は、多いときで1日2、30件ほどの電話をかけていましたね。しかも、伝えるべきことは短時間で済んでも、ついでとばかりに急ぎではない用件をお伝えしたり、相手の質問にお答えしたり、なんだかんだと長引くじゃないですか(苦笑)。それが「KANNA」のチャットなら伝えるべきことを簡潔に伝えられ、相手が確認したかどうかも既読者一覧機能によって一目瞭然です。
チャットの「既読」人数をクリックすると、だれが既読したか確認ができる。パソコンだけでなくスマホでも可能。
また、大規模な施工現場の場合、一つの案件で複数棟の設備設置を請け負うこともあります。そうしたケースでは私たち管理者が現場に常駐していたとしても、各棟の状況を把握し、指示を出すにも非効率が生じます。太陽光発電設備は高い場所に設置する必要があるため、棟を移るたびに足場やハシゴを上り下りしなければならず、これがなかなかの時間を要します。
こうした場面でも「KANNA」が効果的に働いてくれます。チャットから「進捗状況を画像で共有してください」とお伝えすれば、棟を移って直接見に行かなくとも写真で把握できます。もちろん、最終的には管理者の目で確認しますが、写真から見えてくることは多く、効率的に適切な指示ができる。特に時間に厳しい行政施設の施工の場合、こうしたちょっとした時間の削減が業務効率を大きく左右します。
あくまでも私個人の主観ではありますが、電話の回数が減り、画像を通じた遠隔での確認・指示が可能になったことにより、業務時間が最大約2時間は短縮された実感があります。現場が終了した後の情報共有も「KANNA」で済むため、一人でこれまでの1.5人分の仕事ができているような感覚ですね。
—— 一人で1.5人分の仕事ができ、結果的に最大約2時間の業務時間短縮。大きな変化ですね。
大塚様::それだけでなく「KANNA」の導入が、現場の施工精度を高めることにもつながっていると感じます。案件の受注後に協力会社様を選定し、業者の決定後に資料の受け渡しをする。これが工事着工までの流れですが、以前は資料の受け渡しに手間を要していました。それが今は決定した協力会社様を「KANNA」に招待し、業者選定と並行して作成していた資料をアップロードするだけです。
受け渡しが「KANNA」で完結し、手間と時間を削減できたわけですが、それだけではありません。協力会社様の立場からすると、仕事の決定後、すぐに資料を確認できます。実際の着工までに資料が更新された場合も同様に、変更の認識と対応も迅速にしていただけます。そうすることで、現場に対する具体的なイメージが描きやすくなり、これまで以上に準備への時間がかけられます。
また、「KANNA」の導入前は、基本的に協力会社様の社長や親方クラスの方と連絡を取っていましたが、その方が必ず現場作業に従事されるとも限りません。そのため、事前に共有したはずの情報が現場の職人さんに伝わっていないことも多々ありました。しかし、今では「KANNA」のアカウントを持つ関係者全員が連絡内容を確認できるため、伝言ゲームのような状態も解消されています。これは私たち管理側だけでなく、協力会社様にとってもメリットですよね。
「KANNA」を見ながら作業の確認をする職人の藤崎さんとインタビューに答えていただいた大塚さん。藤崎さん曰く「俺らはデジタルとか得意ではないけど、このアプリは小難しくないから使えているね。スマホがあれば知りたいことが全部確認できるのが良い」
以前は伝えた情報が現場まで下りていない、といったケースも生じていました。こうした場合、同じことを説明し直したり、時にはやり直しが発生したり。非効率は現場の時間を奪います。太陽光発電設備の設置には停電が伴いますが、停電時間を短く済ませることも重要な任務です。特に時間にシビアな業界のため、「KANNA」による非効率の解消は、協力会社様も実感されているはずです。
会社の利益を生みながら、数十年先を見越してデジタルで現場情報を蓄積していく重要性
—— 時間にシビアな業界である上に、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用になりました。さらなる効率化が求められると思いますが、最後に、御社の展望をお聞かせください。
原田様:お話ししたように、トライアルの段階から「KANNA」導入の効果は出始めています。“建設業の2024年問題”にとどまらず、それ以前から建設業界全体で叫ばれている人員不足も、私たちにも無関係ではありません。だからこそ、「KANNA」のようなDXツールが大きな業務支援になります。
太陽光発電設備の設置は野外作業です。そのため、図面が突然の雨に濡れてしまったり風であおられてしまったり、協力会社様から再発行を求められることもあります。そのたびに事務所に戻り、図面を刷り出し、また現場に戻って手渡す。しかも、現場は山間地や交通の不便な場所も多く、印刷機のある事務所まで距離が遠いことが多い。クラウド上で資料の受け渡しができる「KANNA」なら、その手間と時間を削減でき、ペーパーレスにも直結、さらにガソリン代の削減にもつながります。
そうした手間や経費の削減を見据え、喫緊の目標はPV技術部社員へ「KANNA」を普及することです。私は管理者として全国各地の現場に出向いているため、そのたびに「最近、こんなツールを導入した」と周知していますが、社内稟議を通すためには効果の数値化も必要です。これがなかなか大変ですが、「KANNA」の担当者はこうしたデータ作成へのアドバイスも親身にくださいます。
太陽光発電設備の耐用年数は約30年。健全な長期運用が求められる設備だからこそ、こまめなメンテナンスが重要です。今は着工前から完工までのフローに「KANNA」を利用していますが、今後は現地調査から完工後のメンテナンスに至るまで、すべてを「KANNA」で管理することを考えています。
そうすれば、「KANNA」が病院のカルテのようになります。設置完了から30年が経っても「KANNA」を振り返れば、その設備の案件情報はもちろん、経過情報までつぶさに把握できる。現場の世代交代があっても一貫した品質を維持できるため、私たちの未来にも貢献してくれます。
- 会社名
- 株式会社サニックス
- 事業内容
- 太陽光発電、設備工事、電気工事
- 設立年月日
- 1978年9月
- 従業員数
- 2,049人(2024年3月31日現在/連結)
- ホームページ
- https://sanix.jp/
記事掲載日:2024年06月02日