紙の山から解放、見た目そのままのデジタル化でベトナム人スタッフも戸惑いゼロ

富山湾のほど近くに工場を構え、大正元年から100余年、海の恵みを活かした水産加工業を営む有限会社浜浦水産。特に、新鮮な肝の旨味を閉じ込めた「ほたるいか素干し」は、試行錯誤の末に生み出され、数々のメディアにも取り上げられる同社の看板商品です。安心・安全な食を提供する同社にとって、衛生管理や従業員の健康チェック表といった帳票は命綱。しかし、日ごとに積み重なる帳票の山は、事務所の棚を埋め尽くし、定期検査前の社長の時間を奪う深刻な課題となっていました。
この課題解決のためDXツールを探す中、「Excelの見た目そのままに電子化できる」というKANNAレポートの存在を知り、「これならいける!」と直感したといいます。なぜKANNAレポートが老舗の現場に受け入れられたのか。帳票の山が引き起こしていた非効率と、その解決策にKANNAレポートを選んだ理由は何だったのか、さらには活用を進めた先の展望まで、代表取締役の浜浦成生様にお話を伺いました。
KANNA導入の背景と効果
課題
・紙の帳票を綴じたファイルで、棚が埋め尽くされる
・過去の帳票の取り出しに苦労し、手書き文字の判読に時間がかかる
導入の決め手
・紙の帳票を見た目そのままに電子化できるKANNAレポートの機能
・〇×形式の帳票で複雑化しないため、日本語が流暢でないベトナム人スタッフも安心
効果・改善
・必要なデータに素早くたどり着ける検索性の高さで、検査前の帳票精査・取り出し作業が効率化
・手書き文字の判読にかかる無駄な時間を解消
・不備商品を写真付きで共有。視覚情報を伴うことで、ベトナム人スタッフにも深く理解が浸透、ミスの再発防止と習慣化に貢献
お話を伺った方

有限会社浜浦水産 代表取締役
浜浦成生 様
創業から100余年、水産加工の老舗を悩ませる「帳票の山」
—— はじめに、御社の事業内容をお教えください。
浜浦様:私たちは富山県魚津市にある水産加工会社です。道を挟んですぐ向こうには富山湾が広がり、主に近海産の魚介類を原料とした干物の製造・販売を手掛けています。創業は大正元年ですが、それ以前から魚津に作業場を構え、数代にわたり水産品の加工業を営んできました。

販売は卸が中心ではありますが、近年はECでの直販にも力を入れています。特に人気なのが、当社の看板商品である「ほたるいか素干し」です。富山名物のホタルイカの中でも、魚津周辺で採れるものは特に大ぶり。旬である春先に産卵期のメスを一気に水揚げし、すぐに冷凍することで、いつ食べても新鮮な状態を保っています。さらに、弊社の「ほたるいか素干し」にはレシピにも秘訣があります。

ホタルイカは肝を除いてから加工するのが一般的ですが、新鮮な肝にはワタの濃厚な旨味があります。この肝のおいしさをお届けするため、塩の加減も干し具合も試行錯誤を繰り返し、独自に開発した自慢の商品です。「素干しに肝を使うなんて」と当初は鼻で笑われたこともありましたが、おいしさがクチコミで広がり、今では多数のテレビ取材を受けるほどの主力商品に成長しました。
—— テレビ取材を受けるほどの御社。抱えていた課題をお聞かせください。
浜浦様:日ごとに発生する帳票の管理に課題を抱えていました。具体的には、従業員の健康チェック表、金属探知機の動作確認表、工場内の清掃チェック表の3種類があり、これらは全営業日に発生するものです。帳票はすべてファイルに綴じて保管していますが、事務所の棚がすぐにいっぱいになってしまうほか、過去の帳票を取り出すのも一苦労でした。
弊社は食品加工業のため、外部検査員による安全や衛生管理の定期検査が実施されます。検査の際には帳票の提出が必須で、その準備が非常に大変でした。膨大なファイルから一定期間分の帳票を取り出し、記入漏れがないかを逐一確認する必要があったんです。検査日は事前に通達されるものの、私は会社のトップとして現場の管理も行わなければなりません。しかし、実際は検査前になると、帳票の精査に追われるような状態でした。

Excelの見た目そのままだから、従業員も迷わず使える
—— 帳票にまつわる業務効率化を目的に、KANNAレポートを選んだ理由とは?
浜浦様:弊社が抱える課題を解決するには帳票を電子化し、ペーパーレス化を進めるしかありませんでした。以前からそのためのDXツールを模索していましたが、今ひとつ、しっくり来るものがなかったのです。しかし、KANNAレポートは非常に使い勝手が良く、何より、Excelで作成した書式を見た目そのままに電子化できます。「これなら従業員も迷わず使える!」と直感できたんです。
弊社ではベトナム人スタッフも多く働いているため、健康チェック表を例に、基本的に〇×形式で書き込みが完了できるように工夫しています。電子化することで帳票の書式が複雑化しては、日本語が流暢でない彼らが戸惑い、現場に混乱を招きかねません。しかし、KANNAレポートならその心配はありません。既存の書式を変更せずに電子化できたことが、最大の決め手になりましたね。

慣れ親しんだ書式のまま、アナログなバインダーからタブレットへ
—— KANNAレポートを導入され、どのように活用されているのですか?
浜浦様:まずは操作に慣れてもらうため、〇×形式の健康チェック表から活用を始めました。この健康チェック表は1人1枚ではなく、1枚の帳票に全従業員が記入する形式です。以前は帳票をセットしたアナログなバインダーを使用していましたが、今はタブレットに置き換えました。帳票の見た目は変わらないとはいえ、従業員が戸惑うのではないかと多少の不安はありましたが、それは杞憂に終わりましたね。皆が最初からスムーズに使いこなし、「できない」「難しい」といったネガティブな声は一切ありませんでした。

KANNA導入前の紙での運用の様子。体調不良がある場合は備考欄に手書きでメモ

KANNAの実際の画面。特記事項もデジタル化で読みやすくなった
金属探知機の動作確認表や工場内の清掃チェック表も、順次KANNAレポートへの移行を進めています。従業員の手を煩わせないよう、紙で運用していた当時からExcelの表を細かく作り込んでいました。そのため、電子化後も従来の書式をそのまま活用できるのは、非常にありがたいことです。電子化に当たり多少のアレンジが必要な箇所もありますが、迷ったときにはKANNAのスタッフが親身に相談に乗ってくれます。

金属探知機の動作確認表。作業開始時間の入力も簡単
帳票に写真添付で、ベトナム人スタッフにもクレーム原因が視覚的に伝わる
—— それでは最後に今後への期待と合わせ、DXを考える他社へメッセージをお願いいたします。
浜浦様:帳票の電子化を進めることで、まず膨大なファイルから解放されます。検査前の恒例だった帳票の取り出しや見直しも、今後は大幅に効率化するに違いありません。必要なデータに素早くたどり着ける検索性の高さは、デジタルならではの大きな利点です。さらに、手書き文字の読みづらさも解消されます。例えば、〇×形式の健康チェック表でも、体調不良のスタッフが出た場合は備考欄に症状を書き込める仕様です。紙で運用していたころは、手書き文字の判読に時間がかかることもありましたが、そうした無駄な時間もなくなります。
KANNAレポートは写真の撮影・添付も即座にできるため、今後はクレーム管理にも活用できると考えています。お客様に安心・安全な商品をお届けできるよう細心の注意を払って仕事をしていますが、極まれにクレームを頂戴することもあります。同じミスを繰り返さないためには、商品のどの点にクレームがあり、原因は何だったのかを従業員全員に共有することが重要です。
これまでは大学ノートにクレームに関する情報を書き込み、周知していましたが、ノートでは文章での記録になるため、視覚情報が載せられません。それがKANNAレポートなら、写真とともに情報を共有できます。特にベトナム人スタッフは日本語が流暢ではないため、言葉だけで深い理解を求めるのは限界がありますが、写真による視覚情報が伴えば、彼らにも内容がしっかりと伝わり、質の高い従業員教育につながるはずです。
また、KANNAはベトナム語をはじめとした多言語に対応しています。特に来日したばかりの外国人スタッフの場合、帳票の書き方を教える側も、それを理解する側も負担が大きいものです。それが多言語対応のツールであれば、教える人、教わる人、双方の大きな助けになります。そして、どの業界にも帳票業務は付きものです。棚を埋め尽くすような帳票ファイルに悩まされている企業は多いと思いますが、電子化を進めれば、棚も机もすっきり。弊社もゆくゆくは、在庫管理表、発注書、納品書、請求書など、すべての書類の電子化を目指していきます。
記事掲載日:2025年10月29日




