大手メーカーが抱えるセキュリティ懸念を払拭でき、業務のタイムロス削減と同時に品質向上も

ミズノ株式会社 総合スポーツメーカー

日本生まれの総合スポーツブランドとして、スポーツの価値を活用したあらゆる商品やサービスの開発を手掛けるミズノ株式会社。世間に広く知られたスポーツ品の開発・製造・販売にとどまらず、ミズノはスポーツ施設の施工・運営受託にも従事し、その管理業務にKANNAを導入しました。
日本国内のみならず、国外のスポーツ施設の施工・運営も手掛けるミズノは何を課題にKANNAの導入を決め、どのような効果を実感されているのか。KANNAを導入したスポーツ施設サービス事業部の伊藤務様、淺野裕章様のお二人にお話を伺いました。
KANNAを導入した目的
セキュリティを担保しながら情報共有の手段を一元化し、伝達の齟齬とタイムロスを解消したい
KANNAを導入する前の課題
(1)社外関係者をビジネスチャットに招待することは難しく、社内外に共有すべき情報がクローズしてしまう
(2)現場の写真撮影にはデジタルカメラを使用し、資料の共有はメールでのやり取りのため、写真と資料を社内外に共有するのにタイムラグが出てしまう
KANNAを導入した効果
(1)KANNAに立ち上げた案件ごとに社内外の関係者を招待。セキュリティを担保しながら関係者全員がリアルタイムに同一情報を確認でき、情報共有の精度と速度が向上
(2)撮影から共有までスマートフォンで完結。写真が格納されるたびに届くプッシュ通知で、写真確認と指示出しも迅速化

お話を伺った方
ミズノ株式会社
スポーツ施設サービス事業部
事業企画管理部 工務課
課長 伊藤 務様(左)
施工管理担当 淺野裕章様(右)
プロ野球シェアNo.1を誇るスポーツ施設の施工管理にKANNAを導入
—— はじめに、ミズノ株式会社の事業内容をお教えください。
伊藤様:スポーツを軸に、さまざまな事業を展開しています。現在はカタカナで「ミズノ」と表記していますが、漢字では「美津濃株式会社」と書きます。当社の始まりは1906年に創業した「水野兄弟商会」。洋品雑貨のほか、当時から運動服装や野球ボールなどの販売もしていたそうです。その後、1910年の野球シューズを皮切りにスポーツ品の開発に取り組み始めましたが、スポーツの価値は多種多様です。高品質なスポーツ品の提供だけでなく、スポーツの力で世界中の人々の幸せに貢献するべく、私たちはさまざまな商品やサービスの開発に努めています。
▲ミズノ株式会社 本社外観
ミズノと聞くと、ご説明のとおりスポーツシューズやアパレル、用具などを販売している会社、というイメージがあると思います。実は、それ以外に全国のスポーツ施設の管理、運営も行っています。それが、私たちが所属するスポーツ施設サービス事業部です。施設の管理、運営だけでなく、野球場やサッカーグラウンドに人工芝を敷いたり、陸上競技場のトラックを敷設したりする施工事業も担っています。埼玉県所沢市の「ベルーナドーム」や大阪府大阪市の「京セラドーム大阪」を筆頭に、日本のプロ野球施設における施工シェアは当社がトップ。また、国内にとどまらず、台湾初のドーム球場「台北ドーム」に関しても、私たちが手掛けています。
当社が現在の事業をスタートしたのは今から60年以上前、1950年代のことです。その間に築いてきた技術と経験はもちろん、創業当時から積み重ねてきた知見を礎に、私たちが目指すのは“ミズノだからできるフィールドづくり”。ミズノの独自技術を用いたスポーツ施設を数多く施工しています。KANNAはこのスポーツ施設サービス事業部に導入いたしました。
セキュリティに不安なく、社内外を通じた情報の一元共有が可能に
—— スポーツ施設の設計・施工・運営の事業にKANNAを導入。導入の背景には、どのような課題があったのでしょうか?
淺野様:伊藤がご説明したように、当事業には60年以上の歴史があり、多くのスポーツ施設を手掛けてきました。ただ、建設を主たる事業とする大手のゼネコンさんと比較すると、我々は少数精鋭です。一方、新規に建設する施設だけでなく、現在進行形で運営している施設の維持管理や修繕工事もあるため、同時並行的に扱う案件は非常に多岐にわたります。けっして多くない従業員が数ある案件の管理者となり、実際の施工を担う複数の協力会社と連携する必要があります。
各案件の管理者として、私たち自身が建設や修繕の現場に立ち合うことが多々あるのですが、少数精鋭ゆえに自分が担当する施設以外の現場に出向くことも少なくなく、その際には事前の情報共有が不可欠です。
一方、協力会社とのやり取りは電話かメールでした。そのため、別の担当者に現場の立ち合いを任せる際には、進捗状況も注意点も、資料も写真も、本来の担当者が持っている情報をイチから伝え、共有する運用でした。これでは非効率ですし、共有すべき情報に漏れが生じかねません。実際、「言った。いや、聞いていない」といった情報伝達の食い違いも起こっていたため、当社の従業員も協力会社の方も、一元的に情報共有できるツールを探していたのです。
—— 社内外にかかわらず、関係者全員が利用できる情報共有ツールを模索された結果、KANNAの導入に至ったのですね。では、導入を決めた理由はどこにあったのでしょう?
淺野様:KANNAは煩雑なプロセスを経ずとも社外の関係者を招待でき、なおかつ、セキュリティは高レベル。案件ごとに招待する関係者を限定できるほか、協力会社をはじめとする他社へのアカウント付与が無制限に無料なため、導入コストもランニングコストも抑えられます。これが大きな決め手になりましたが、誰でも簡単に、直感的に操作できるUIもKANNAを選んだ理由です。
私たちが手掛けるスポーツ施設には、ミズノが積み重ねてきた知見が詰まっています。人工芝にも陸上トラックにも、体育館やテニスコートの床材にも特殊な技術や素材を用いているため、どの業者にでも施工できるわけではなく、業務を委託する協力会社もおのずと限られます。ただ、これは建設業界全体の傾向ですが、我々と契約している協力会社の職人さんも高齢化が進んでいます。
お若い方なら、どんなDXツールも難なく使いこなせるかもしれません。しかし、そうではない年代の方もいらっしゃいます。KANNAなら、DXツールに不慣れな方でもスマートフォンで簡単に操作でき、アプリ内の機能もシンプル・イズ・ベスト。関係者全員とコミュニケーションが取れるチャット機能や資料共有ができるフォルダ機能をはじめ、必要な機能が簡潔にまとまっています。
スマートフォンアプリで見た場合の「KANNA」チャット機能(イメージ)
共有の迅速化と書き込み機能により、タイムロスの削減と品質向上を同時に実現
—— では、実際にKANNAを導入活用され、どのような効果をお感じですか?
淺野様:今は協力会社の皆さんに向け、活用の周知を進めている段階ですが、当社の従業員も協力会社の方も、関係者全員が同じ情報にアクセスできる点は、やはり、とても便利ですね。図面をはじめとする資料をKANNAのフォルダに格納すれば、誰もが最新の情報を確認できます。
これも導入の検討段階から期待していたとおり、社外の方からしてもKANNAは使いやすいようです。案件の関係者として社外の設計士も招待していますが、その方はベテラン。私よりもずっと年上の方ですが、KANNAの活用をお願いした直後からいとも簡単に使いこなされ、その方からお送りいただく設計図の確認もスムーズになりました。
KANNAの導入前は設計図をZIPファイルに圧縮し、メール添付いただいていました。受信したファイルを開くと文字化けしていることもあり、そのたびに再送をお願いしていましたが、今はお互いに生じる手間が解消されました。
また、KANNAのフォルダ機能は、格納した資料への書き込みができるところも便利ですね。私たちは人工芝の施工を数多く手掛けていますが、高品質な人工芝を完成させるには、何層にもわたって充填剤を散布する必要があります。例えばKANNAのフォルダに人工芝工事に関わる資料を格納しておけば、工程が進むごとに施工に関する詳細を書き込むことができ、詳細が書き込まれた計画書を関係者全員が閲覧できる。これは最新情報の共有といった面はもちろん、日ごとに蓄積されていく情報をつぶさに確認できることから、品質向上の面にも効果的に働きます。
写真の共有も迅速化し、これも品質向上につながります。KANNAの導入前は施工現場の撮影にデジカメを使用していましたが、当時はSDカードをパソコンにつなぎ、ローカルに保存したデータをメール添付し、関係各所に送っていた形です。しかし、それでは手間も時間もかかり、リアルタイムな共有は不可能に近い。管理側も現場側も忙しく、データ移行という事務作業は後回しになりがちなため、写真共有が撮影の翌日、翌々日になってしまうこともありました。
それが今では撮影から共有まで、スマートフォンのKANNAで完結し、写真共有にかかっていた手間と時間が一気に解消されました。しかも、新たな写真がアップロードされるたびにこちらにプッシュ通知されることから、確認もすぐにできます。そして、確認した写真に気になるところがあれば、修正の指示も格納後即座にできる。現場の職人も管理側の私たちも、双方のスピードが上がり、待ち時間や手戻りなどの無駄な時間がなくなりました。
さらなるKANNA活用を進め、目指すは管理業務全体の一元化と効率化
—— ありがとうございます。それでは最後に、これからもKANNAを活用いただきながら、どのように業務効率化を目指すのか、今後の展望をお聞かせください。
伊藤様:協力会社の皆さんにもより積極的にKANNAを活用いただくため、年に一度、定期的に開催している安全大会の機会を利用し、KANNAの活用浸透に向けた説明会とマニュアルの配布をしようと考えています。現状では「使ってくださいね」と口頭でお伝えしていますが、それでも淺野がお話ししたように、積極的にKANNAを活用くださる方もいらっしゃいます。
また、KANNAはペーパーレス化にも効果的です。例えば、KY用紙と呼ばれる危険予知活動表。これは現場の安全管理のため、施工に従事いただくたび、日ごとに協力会社の方に記入をお願いし、提出いただかなくてはいけません。皆さん、慣れたこととは言え、常に用紙とペンを携帯せねばならず、不便かつ面倒なはずです。この記入と提出の作業をKANNAでデジタル化できれば、協力会社さんの手間を解消できます。すでに一部の協力会社の方はKANNA上でKY用紙の記入と提出をしてくださっていますが、「紙よりもずっと楽になった」というお声を頂戴しています。
そして、ゆくゆくは資料や写真の共有だけでなく、工程表や案件カレンダー、電子黒板といった機能もより積極的に活用し、私たちが目指すのは情報共有の一元化にとどまらず、施工管理全体をKANNAに一元化することです。ツールの開発・運営元であるアルダグラムの協力もいただきながら業務効率化を進め、さらなる生産性や品質向上につなげていきたいと考えています。
- 会社名
- ミズノ株式会社 総合スポーツメーカー
- 事業内容
- 事業部:スポーツ施設サービス事業部 事業内容:施設運用/保守、PPP・PFI・指定管理事業、スポーツ施設施工、人工芝施工、 イベント企画/運営、土地活用事業
- 設立年月日
- 1906年4月
- 従業員数
- 3,584人(2024年3月31日現在)
- ホームページ
- https://corp.mizuno.com/jp
記事掲載日:2025年03月30日