年間最大700件の工事、課題は膨大な“紙の山”。KANNA導入で「8割ペーパーレス化」を実現
日本初の民間ガラス製造会社として、前身となる岩城硝子の創業より140年以上もの歴史を誇るAGCテクノグラス株式会社。ガラスが持つ無限の可能性を引き出す組成開発や溶解成形技術、加工技術を磨き続けてきた同社では、社内工事の施工管理にKANNAを導入しています。
広大な敷地内で日々行われる工事の裏側にあった“見えない手間”とは? なぜ「KANNA」がその解決策として選ばれたのでしょうか。KANNAの導入を牽引され、活用浸透にも従事される森下賢悟様にお話を伺いました。
KANNA導入の背景と効果
課題
・膨大な紙帳票に一苦労:紙の帳票とファイルでの運用による受け取り・保管・情報抽出の労力
・属人化した資料管理の限界:フォルダの作成場所や名称が統一されないことによる情報抽出の手間
導入の決め手
・紙の帳票を容易に電子化:紙帳票の見た目そのままに電子化できるKANNAレポートの機能
・外部ID発行が無料:他社に付与するアカウントは無制限無料の料金体系
・セキュリティへの安心感:大手への導入実績からセキュリティの高さに信頼
効果・改善
・帳票管理の手間から解放:帳票の電子化により、受け取りやファイリングの手間を一掃。情報抽出も迅速化
・過去資料にも最短アクセス:工事写真や図面を案件ごとに一元管理。目的の情報に最短でアクセス可能に
・業務連絡をスマート化:プッシュ通知で、急な連絡も電話不要に。スマートかつスピーディーな対応を実現
お話を伺った方
AGCテクノグラス株式会社
設備技術部 施設グループ 森下賢悟様
歴史に裏打ちされた技術が先進分野を切り拓く、日本初の民間ガラス製造会社
—— はじめに、AGCテクノグラス株式会社の事業内容をお教えください。
森下様:私たちは創業から140年以上の歴史を持つ、日本初の民間ガラス製造会社です。1883(明治16)年の創業以来、特殊ガラスの製造を手掛けてまいりました。1960年代には耐熱ガラス食器や電球、80年代にはテレビのディスプレイ用部材など、時代のニーズに合わせながら事業を展開してきましたが、現在はAGCグループの戦略事業である“エレクトロニクス・モビリティ・ライフサイエンス”のすべてに関わる重要拠点として、多種多様なガラス製品を日々、開発しています。

これまでに培った幅広い熔解・加工・成膜の技術を強みに、私たちは開発から生産まで一貫した体制、さらには少量多品種の生産に特化した設備を有し、スマートフォンの高性能化、自動運転、AR・VR、次世代半導体分野や再生医療をはじめ、変化が激しくも今後大きな発展が期待される分野に素材を提供しております。
年間最大700件の工事。広大な敷地で直面していた「紙と探す時間」という壁
—— 長い歴史によって育まれた、先進技術を持つ御社。どのような課題を背景に、どちらの部門にKANNAを導入されたのでしょうか?
森下様:私が所属する設備技術部 施設グループに、KANNAプロジェクトとKANNAレポートを導入しています。社内より依頼のある工事全般の仕様書作成、施工管理、さらには内製工事やユーティリティプラントの保全業務も我々の役割です。私たちAGCテクノグラスは静岡県の榛原郡吉田町に本社と工場を構えていますが、その敷地は広大です。広い敷地に複数の建物が建ち、日々さまざまな設備が稼働する中、歴史もあることから建物の修繕や設備のメンテンナス、新たな設備の導入など多種多様な工事が生じます。
私たちの工場は敷地がとても広く、東京ドーム約5個分におよぶ敷地内で、施設グループ対応の工事は年間平均350件、AGCテクノグラスとしては年間約700件にのぼる設備のメンテナンスや管理をしています。ほぼ毎日、どこかで何かしらの工事が進んでいる状況です。その工事を安全に進めるため、協力会社の皆さんには日々たくさんの書類を提出いただくのですが、以前はすべてが紙でのやり取りでした。今思うと、本当に非効率だったなと…(苦笑)。
まず、途方に暮れるほどの“紙の量”です。毎日提出される書類に1枚ずつ穴を開けて、分厚いファイルに綴じていく。この単純作業だけで、かなりの時間が奪われていました。オフィスの棚はすぐいっぱいになるので、過去の書類は書庫へ移動させるのですが、いざ昔の工事内容を確認したくなったときが大変で。オフィスから書庫へ行き、棚から目当てのファイルを探し出し、1枚1枚ページをめくって…と、情報にたどり着くまでに、一体どれだけの時間を使っていたか分かりません。
紙だけでなく、パソコンの中も“迷子”だらけでした。工事写真や図面はサーバーで管理していたものの、フォルダを作る場所や名前の付け方が人によってバラバラで。「あの写真どこだっけ?」とサーバー内を延々と探し回るような、無駄な時間が日常的に発生していたんです。しかし、書類も写真も資料も案件ごとに一元管理できれば、すぐに目的の情報にすぐにたどり着くことができ、これまでの非効率が解消できるのではないか。そう考え、KANNAの導入に至りました。
決め手は「見た目が変わらない」安心感。協力会社も、セキュリティ部門も納得した選択
—— 工事に関する情報の一元管理を目的に、KANNAを選ばれた理由をお聞かせください。
森下様:KANNAを選んだ一番の決め手は、今まで使っていたExcelの帳票を、見た目も使い勝手もそのまま電子化できる「KANNAレポート」の存在でした。これを見たとき、「画期的だ!」と感動しましたね。新しいツールを導入する上で一番の気がかりは、長年お付き合いのある協力会社の皆さんに、余計な負担をかけてしまうことでした。フォーマットが大きく変わると、現場に混乱を招きかねません。でもKANNAなら、その心配がありませんでした。さらに、協力会社の方々が使うアカウントは、いくつ発行しても無料なんです。「ツール利用料は、こちらで負担してください」なんてお願いは、とてもできませんから。この料金体系も、私たちにとっては大きな後押しになりました。
また、KANNAはセキュリティ面も安心です。私たちAGCグループは数多くの特殊技術を有しているため、情報漏洩防止のためのハードルが非常に高く設定されています。セキュリティ面への懸念から導入できないツールもありますが、当グループには全体の情報共有として、グループが設定するセキュリティレベルをクリアしたDXツールを紹介する仕組みが構築されています。KANNAを知ったのも「このツールなら導入しても問題ありません」と、グループ内のサイトで紹介されていたからです。
「便利で楽になった」と協力会社からも。KANNAがもたらした“3つの嬉しい変化”
—— では、実際にKANNAを導入され、どのような効果をお感じですか?
森下様:実際にKANNAを導入してから、現場では嬉しい変化が次々と起きています。まず、長年の課題だった書類管理が劇的に改善され、KANNAレポートのおかげで施設グループが管理する工事の約8割でペーパーレス化を達成できました。これまでのように、協力会社の皆さんに書類を手渡しで持ってきていただき、サインをもらうといった手間が一切なくなり、双方にとって大きな負担軽減につながっています。以前は、協力会社の方が現場に来る前に、わざわざ事務所へ寄って書類を印刷してくださっていたのですが、今では手元のスマートフォンやタブレットで直接入力できます。「事務所に寄る手間がなくなったよ」と喜んでいただけたのは、私たちにとっても本当に嬉しいことでした。
コミュニケーションのあり方も大きく変わりましたね。日々の業務報告はKANNAの報告機能が中心となり、工事の進捗を写真付きで投稿してもらえるので、私が現場に足を運ばなくても状況が手に取るように分かります。特に効果が大きかったのは、電話連絡が減ったことです。以前は会議中に電話が鳴り、やむを得ず会議を中断してしまうこともありましたが、今はKANNAのチャットで連絡が来るので、そうした心配もなくなりました。メールと違って「お世話になっております」といった定型文も不要になるので、協力会社の皆さんにも「要件だけで大丈夫ですよ」とお伝えしています。その分、お互いが時間を有効に使えるようになりました。
そして最後に、ずっと実現したかった写真や資料の一元管理という課題も解決できました。以前は、写真データをパソコンに移し、紙の資料はスキャンして、サーバーのフォルダに格納して…と、何重もの手間が発生していました。今はすべての情報がKANNAの中に案件ごとに整理されているので、どんなに古い資料でもすぐに見つけ出せるようになりました。こうした一つひとつの効率化が積み重なった効果は、本当に大きいと感じています。
「KANNAなしでは大変だ」。他部署への横展開を見据え、“楽で漏れなし、スマート工事”の実現
—— ありがとうございます。それでは最後に、これからもKANNAを活用いただきながら、どのようにさらなる業務効率化を目指すのか、御社の展望をお聞かせください。
森下様:私たち施設グループでは、「工事書類の完全電子化」を2024年の目標に掲げており、KANNAはその達成に不可欠なパートナーです。すでに工事担当の主任からも「KANNAがなくては大変だ。今後も活用をどんどん進めるように」と力強い言葉をもらっています。この言葉を励みに、今では協力会社の皆さんや社内の仲間へ積極的に声をかけ、「もっとこうだったら使いやすい」という率直な意見も集めるようにしています。
私たちがこれほどKANNAに期待を寄せるのは、ツールの機能面だけが理由ではありません。機能改善の要望を伝えた際に、運営元であるアルダグラムのスタッフさんが、いつも真摯に、前向きに耳を傾けてくれるんです。「その機能は、すでに改善に着手していますよ」と返事をいただくことも多く、ユーザーと共に進化していこうという姿勢に、私たちも大きな信頼を寄せています。
この手応えと信頼があるからこそ、今後は私たちの部署だけでなく、社内の他部署へもKANNAを横展開していきたいと考えています。もちろん、新しいやり方に抵抗を感じる方もいるでしょう。ですが、心配はしていません。なぜなら、今KANNAを使ってくれている協力会社の皆さんが、私たちの想像以上にスムーズに活用し、その便利さを実感してくださっているからです。「実際に使ってみれば、便利さが分かる」。この事実が、何よりもの説得力になると信じています。
そのために、2025年は社内展開に向けてKANNAのPR活動や操作説明会などを計画しており、重要な準備期間と位置付けています。工事に関わるすべての人がKANNAを使いこなし、部門の垣根を越えて当社が掲げるスローガン「楽で漏れなし、スマート工事」を実現する。その未来に向けて、本格的に準備を進めていきたいです。
記事掲載日:2025年08月28日





